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建物を壊すことなく、基礎や地盤の改修ができる「曳屋」

歴史的な建造物の保全にも役立つ「曳屋」

こんにちは!自然素材をいかした家作り。夏は涼しく冬はあたたい、一年中快適な室温で暮らせる家作りが得意な、中川忠工務店の中川義仁です。

今日は、ちょっと特殊な工法の実例紹介です。

「曳屋工事」

曳屋工事とは、建築物をそのままの状態で移動する建築工法です。

曳屋は、歴史的価値のある建造物や、ご先祖様から受け継いだ大切な家など、壊したり解体したくはないけれど、例えば長い年月の間に地盤や基礎に不安が生じた場合、建築物をそのまま別の場所へ移動する場合に活用される工法です。

中川忠工務店では、特殊な建築工法「曳屋」も対応しております。

実際に行った、曳屋工事

今回、曳屋を行ったのがこちらの建物です。

土蔵

長年使われてきた土蔵。基礎がかなり傷んできました。
そこで、曳屋を行い、建物を移動して基礎を修繕し、また土蔵を元に戻します。

まず、建物の中に栗の木を使ってジャッキアップする土台を作ります。その台にジャッキを掛け、少しづつあげていきます。

 

土台とジャッキは力が分散するように取り付けていきます。
一か所に偏らないように気を付けます。

大分土蔵が上がってきました

 

 

ある程度まで建物が上がれば今度は、建物を横移動させます。
移動風景の写真です↓

土蔵を移動させます

基礎を新しくやり直したものが完成したら、その上に移動させておいた土蔵を戻します。

綺麗に仕上がった基礎の上に土蔵を戻します

 

 

 

基礎が出来上がり、その基礎の上に建物を移動させて曳屋工事は完了します。その後屋根、外部、内部の造作をして完成です。

曳屋工事の歴史

曳屋の歴史は古く、古代エジプトのピラミッド、中国の万里の長城、イギリスのストーンヘンジなどが築造工事の際に、巨石を移動させたことにさかのぼるそうですが、これは諸説あるようです。

日本においては、5世紀か7世紀頃から行われていたそうです。
日本で曳屋を行った著名な建造物は、
・赤坂プリンスホテル旧館
・インブリー館
・東京中央郵便局
・同潤会大塚女子アパートメント
・靖国神社鳥居
・総理大臣公邸
・弘前城天守
(参考:ウィキペディア)

曳屋を行う際に注意点

曳屋を行うに当たっては

・曳屋を行うに適した土地が確保できること
・建築物が曳屋を行うのに必要な耐久性を保持していること

などの諸条件をクリアすることが必要です。

ですが、歴史ある建物、思い入れの建物を壊すことなく、基礎や地盤の改修工事が行えますので、とても有難い工法の一つと言えます。
特殊な工法ではありますが、こういった建築技術もありますよー、ということでご紹介でした!

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