【家づくりの知恵】その擁壁、大丈夫ですか?大雨の前に確認したい3つの危険サイン
大雨の前に確認してほしい「擁壁」のこと。
古い擁壁は一度点検を
近年、全国各地で記録的な大雨や集中豪雨が発生しています。
だからこそ、今一度注意していただきたい大切なことをお伝えします。
中川忠工務店の中川です。
大雨による被害というと、河川の氾濫や土砂災害を思い浮かべる方が多いと思いますが、
住宅地で注意していただきたいもののひとつに「擁壁(ようへき)」があります。

【 擁 壁 ※写真はイメージです】
擁壁とは、高低差のある土地で土が崩れることを防ぐためにつくられた構造物です。

普段はほとんど意識することがありません。
しかし、住宅そのものと同じように、擁壁も年月とともに劣化していきます。
そして大雨によって大量の水が地盤に入り込むと、その水が擁壁の背面にたまり、擁壁に大きな力が加わることがあります。
特に、築造されてから長い年月が経過している擁壁については、一度状態を確認しておくことをおすすめします。
「コンクリートだから大丈夫」とは限りません
以前は、
「コンクリートだから長期間大丈夫だろう」
「今まで何十年も問題がなかったから大丈夫」
と考えられることもありました。
しかし、擁壁も永久に性能を維持できるものではありません。
国土交通省の資料でも、
宅地擁壁は時間の経過とともに老朽化し、
雨や地震などによってひび割れや傾きなどが発生することがあるとされています。
また、国土交通省が紹介している既存造成宅地擁壁の調査では、
築造後20年を経過した頃から危険度が高くなる傾向が示されています。
もちろん、
「20年経ったから危険」
「50年経ったから壊れる」
という単純な話ではありません。
施工方法、構造、地盤、排水状態、周辺環境、これまでの維持管理などによって状態は大きく異なります。
だからこそ、年数だけで判断するのではなく、現在の状態を見ることが大切です。
【相当年数が経過した擁壁は、ぜひ検査をおすすめします ※写真はイメージです】
特に確認したい3つのポイント
古い擁壁がある住宅では、まず次のような変化がないか確認してみてください。
- ① 擁壁にひび割れがある
小さなひび割れでも、以前より大きくなっていたり、長く伸びていたりする場合は注意が必要です。
- ② 擁壁にズレ・傾き・膨らみがある
壁面が以前より前に出ている、部分的に膨らんでいる、石やブロックにズレがあるなど、形状に変化が見られる場合も専門家による確認をおすすめします。
- ③ 水抜き穴が詰まっている
私たちが特に確認してほしいと思うのが、水抜き穴です。
擁壁の背面にたまった水を外へ逃がすための重要な部分です。
水抜き穴が土や植物などで詰まると、雨水を適切に排出できなくなり、擁壁の背面に水圧がかかる原因になります。
大雨のときほど、この排水機能が重要になります。
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大雨が降ってからではなく、何もないときに確認する
擁壁の難しいところは、普段は問題なく見えていても、豪雨や地震などをきっかけに変状が表面化する可能性があることです。
国土交通省も、老朽化などによって機能が低下した擁壁は、倒壊などによって宅地や建物だけでなく、隣接する土地にも影響を及ぼす可能性があるとしています。
だからこそ大切なのは、
「壊れてから直す」のではなく、「壊れる前に状態を知る」こと。
特に、
- 築造されてから長期間経過している
- いつ造られた擁壁かわからない
- 大きなひび割れがある
- 擁壁が膨らんでいる、傾いている
- ブロックや石にズレがある
- 水抜き穴が見当たらない、または詰まっている
- 大雨のあと擁壁から大量の水や濁った水が出ている
こうした状態が確認できる場合には、自己判断せず、建築士や擁壁・造成に詳しい専門家などへ相談することをおすすめします。

【気になる場合は、ぜひ専門家に擁壁のチェックを受けることがおすすめです ※写真はイメージです】
家だけではなく、「土地」も住まいの一部です
私たちは家づくりというと、どうしても断熱性能や耐震性能、屋根、外壁など建物そのものに目が向きがちです。
しかし、本当に長く安心して暮らすためには、建物を支えている土地や擁壁についても考える必要があります。
特に古い住宅地では、住宅と同じように擁壁も築造から長い年月が経過しているケースがあります。
これまで大丈夫だったから、これからも大丈夫。
そうとは限りません。
大雨が増えている今だからこそ、一度ご自宅の周囲を歩いて、
「擁壁にひび割れはないか」
「傾きや膨らみはないか」
「水抜き穴はきちんと機能しているか」
を確認してみてください。
住宅のメンテナンスと同じように、擁壁も定期的に状態を確認し、必要に応じて補修・補強・再構築などを検討する。
それが、これからの時代の住まいを守るために大切なことだと思います。
中川忠工務店では、擁壁についてもご相談をお受けしておりますので、
ご不安に思われていること、ご質問などございましたら、お気軽に問い合わせくださいね。
参考資料・出典
国土交通省「宅地擁壁について」(2026年8月28日確認)
国土交通省「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(令和4年公表、令和5年3月一部修正)
国土交通省「我が家の擁壁チェックシート(案)」
国土交通省資料「宅地災害防止・減災に必要な取り組み」
※擁壁の安全性は、築造年数だけで判断できません。構造、地盤、施工状況、劣化状況、排水状況などを総合的に確認する必要があります。
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